「フリーJAZZ落穂拾い」アーサー・ジョーンズ Arthur Jones – Scorpio (1969)

私自身はフリージャズは同時代的には体験していないので、跡付けるかたちで聴いてきたのだが、やはり意識したのはオーネット・コールマン、セシル・テイラー、アルバート・アイラーだ。田舎だとジャズ喫茶に行ってもフリージャズはほとんどかからない。当時はラジオが唯一の音源情報だ。FMなどでアーチ・シェップや山下洋輔が流れたことがあったが、流行りはフュージョン、クロスオーバー(死語)で電化されたものが普通になっていた。BGMっぽいのも売れたりしたので、よけいにフリージャズを指向したのかもしれない。

このアーサー・ジョーンズはかなりマイナーで、『スコーピオ』 – Scorpio (1971年、BYG Actuel)[5]も日本で発売されたようだが、私が知ったのもPヴァインからのレコード再発だ。

この再発レコードのライナーを読むと、けっこうアーサー・ジョーンズは不明なところが多いミュージシャンだ、フランク・ライト(t.sax)のグループでデヴューしたが、60年代後半にサニーマレーなどいわゆる前衛ジャズミュージシャンがパリに移動して活躍したが。米国での演奏が難しいのとフランスでの人気が出たということで、それがBYGやアメリカ30というマイナーレーベルのレコードに結実した。

ジョーンズのディスコグラフィーは米国の音楽サイトDiscogsディスコグス:音楽に関するデータベースサイト)がいちばん詳しい。それによるとレコード記録は24点ほどある。しかし70年以降の録音がほとんどないようで、もしかしたら活動は休止していたのかもしれない。

https://www.discogs.com/ja/artist/253095-Arthur-Jones?type=Credits&filter_anv=0

唯一のリーダーアルバムである本作は、ジョーンズの激情的でありながらも抑制的なサックスが存分に聴ける。ソウルフルな雰囲気もあり、やはり黒人音楽の文脈でのフリーだなと納得してしまう。



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